年末テレビ

年末年始のテレビといえば、大手テレビ局はこぞって視聴率を稼ごうとしてそれこそ下らないバラエティー番組のオンパレード状態になる。今年も民放の性質上、そのような状況が続いている。
そんなつまんねねんまつなんだが、NHKが放送した「にっぽんの現場-秋葉原、年の瀬の物語-」、「72時間 -渋谷駅コインロッカー-」は久々に面白かった。クローズアップ現代やってないだけのことはある。
にっぽんの現場秋葉原の都市を中心に、その都市に息づく文化とその人々、オーバークロッカー、電子部品の露天の店主、美少女ゲームオタク、メイドさん、電子工作少年、ひぐらしの中の人etc を、時間の経過を軸として映し出している。「大量生産、大量消費、戦後の日本には誰にもわかりやすいものがあふれるようになった。だけど、わからないものの中に、未来への鍵が隠されているかもしれない。この街にはまだまだ私たちの知らないものや、わからないことがうごめいている。」 この街には価値観の自由がある。
72時間。渋谷駅のコインロッカーを中心に、9/9〜9/11、あの衆議院選挙のあった3日間を写す。渋谷のコインロッカーを使う人々は、地方からの上京者、女子高生、観光客、ホームレス、おばあちゃん、様々。たかだかコインロッカー、でもそれは、様々な主張の入り混じる都市の持つ側面を確実に捉えている。選挙速報のニュースが流れる中で、ある外国人日本人の彼女から別れを告げられるシーンが、社会的な大きなレベルの変動と小さなレベルの変革の対比で妙に印象深い。
両者とも淡々とした、それでいてNHKにありがちなやらせっぽさの少ないナレーション、場面の区切りとして現れる時刻表示、落ち着いた音楽、そこら辺がよかったね。あとそれからゲストが出てこないあたり、これ重要。
やはり淡々と語られるドキュメンタリーは雰囲気があっていいね。