故郷へ

5年ほど前に東京に引っ越して以来、一度も訪れた記憶がない故郷、金沢区
決して地理的に遠いわけじゃない。この地域に来る理由が別段なかっただけ。
今日行ったのも、あくまで三浦半島一周のついでに寄り道しただけに過ぎない。


久々に訪れたふるさとを形容する言葉に
「時が止まったかのよう」というのがある。
だが、時は止まらない。
止まったのは、その町に対する自分の認識、過去の自分の世界。
拡大した現在の世界のものさしにとって、
過去の世界は小さくある運命にある。


郷愁がないわけじゃない。
でも、突き動かすほどの力のあるものじゃない。
予期された郷愁と、過去の世界のギャップとの絡み合いを感じながら、
町を一通り見て回り、R16に戻る道へ向けてペダルを踏み込む。
「よくない南風だ」と呟きながら。


また、しばらくここには来ない。