2014年モデル各社のBBの動向
ロードバイクのボトムブラケットの規格はCannondaleのBB30を口火にそれまでのスレッド式から圧入(プレスフィット)式への転換が進み、様々な規格が乱立してBB戦国時代と言われて久しい。今後を占うべく、各ブランドのBB方式をまとめてみた。
blue | BB30 | |
Cyfac | BB30 | |
Felt | BB30 | アルミフレームのF75もBB30 → 2015モデルでF4やF75がスレッド式(JIS)に回帰 |
Kestrel | BB30 | |
Museeuw | BB30 | |
Orbea | BB30 | →2015モデルでBB86に |
Time | BB30 | 2010〜 →2015モデルでBB386も採用 |
Focus | PF30 | PF30は2012〜、2011はBB30 |
Intermax | PF30 | |
Jamis | PF30 | |
KHS | PF30 | |
MASI | PF30 | |
Moots | PF30 | |
NEILPRYDE | PF30 | |
Norco | PF30 | |
OPUS | PF30 | |
Parlee | PF30 | |
Pinarello | PF30 | 2013モデルで圧入に → 2015モデルでスレッド式(イタリアン)に回帰 |
Ridley | PF30 | |
Specialized | PF30/BB30 | |
Cannondale | PF30/BB30A | Synapse 2014で初登場のBB30Aは左右非対称 |
Anchor | BB86 | 2012〜 |
Argon 18 | BB86 | |
Avedio | BB86 | Venusはプレスフィットとしか書かれてないが写真から判断 |
BMC | BB86 | 〜2012はBB30 |
BOMA | BB86 | |
CANYON | BB86 | |
Carrera | BB86 | Carrera SLでBB86に (2013〜) |
Colnago | BB86 | CX-Zero(2014〜)、プレスフィットとしか書かれてないので写真から判断 |
Eddy Merckx | BB86 | EMX-525 |
FUJI | BB86 | |
Giant | BB86 | アルミフレームのDefy1やTCR1でもBB86 |
GraphiteDesign | BB86 | |
KhoodaaBloom | BB86 | 2014〜 |
KOGA | BB86 | |
Lapierre | BB86 | |
LightWeight | BB86 | ロードフレームは2014〜 |
SCOTT | BB86 | |
STORCK | BB86 | "PressFit 86,5 mmとされている" |
Cinelli | BB86(BB86.5) | |
Trek | BB86(BB86.5) / BB90 | TrekがBB86.5と呼んでいるのは事実上BB86と同じ規格か? BB90は24mm軸なのでBB86に近い規格。 |
Bianchi | BB386 | |
KUOTA | BB386 | BB386(KOM/Kiral/Khydra)、PF30(KURARO)、BB86(K-UNO) |
MERIDA | BB386 | |
Willier | BB386 | |
GIOS | BB86/BB30 | |
DEROSA | BB86/BB30/BB386 | |
DedacciaiStrada | BB86/PF30 | |
BH | PF30/BB386 | |
Look | BB86/BB65 | 固有規格BB65で有名。675はBB86 |
Cervelo | BBright | 固有規格BBrightはPF30を左に広げた亜種と見ることもできる。 |
おまけ、BB規格一覧表
シェル幅 | シェル内径 | クランク軸径 | 圧入方法 | ベアリング幅 | 主なメーカー | 備考 | |
BB86 | 86.5mm | 41mm | 24mm | カップ | 7mm | Giantなど | 単にプレスフィットBBと言ったらコレ。 あるいはPFBB86とも。1.75mmのフランジがあるため、BB含めた幅は90mm |
BB90 | 90.5mm | 37mm | 24mm | ベアリング挿入(not圧入) | 6.1mm | Trek | ベアリングをフレームに直接挿入 |
BB30 | 68mm(73mm) | 42mm | 30mm | ベアリング圧入 | 7mm | Cannondale、Feltなど | 広義のBB30は「30mm軸クランクが使える」という規格。 一般的には6806ベアリングをフレームに直接圧入するこの規格を指す。 |
PF30 | 68mm(73mm) | 46mm | 30mm | カップ | 7mm | Cannondaleなど | BB30を改良。上述の通りPF30は広義のBB30の一種。BB30-46と呼ばれたこともある。 |
Bbright | 79mm | 46mm(42mm) | 30mm | ベアリング圧入 | 7mm | Cervelo | BB30を左に広げた |
BB386 | 86.5mm | 46mm | 30mm | カップ | FSAが提唱 | PF30のシェル幅拡大、あるいはBB86を大口径化。BB386EVOとも呼ばれる。 | |
BB65 | 独自 | Look | 左右クランク一体型であるZED2クランク専用 | ||||
BB30A | 73mm | 42mm | 30mm | ベアリング圧入 | Cannondale | A=Asymmetry(非対称)、BB30の左側だけ広くしたもの。CannondaleやFSAの専用クランクしか使えない。 | |
BB86.5 | 86.5mm | 41mm | Trek | BB86と同義か? 左右対称らしい。 | |||
OSBB (カーボン) | 61mm | 46mm | 30mm | カップ | 7mm | Specialized | 6806ベアリングを樹脂カップを経由して圧入する、PF30の亜種。最近はカップがアルミ製のことも。カップがフレームからはみ出たりスペーサーをはめたりで、クランク側から見るとBB30/PF30と同じ。 |
OSBB (アルミ) | 68mm | 42mm | 30mm | ベアリング圧入 | 7mm | Specialized | BB30と等価。カーボン用OSBBとの違いはカップがBB横にはみ出すかどうかで判別可能? |
BB30でベアリングをフレームに直接圧入するとカーボンフレームがベアリング圧入のたびに削れてしまう問題が取り沙汰され、後発のPF30/BB86/BB386ではベアリングの入った樹脂製カップをフレームに圧入する方式が採用されている。当初の理想としては、BB30のほうがパーツが少ない分軽量で生産コストも低く、BBの交換で汎用ベアリングが使えるのでBB交換費用が安くて済む、ということなのだが。
BB86.5がTrekとCinelliだけで見られる呼び方。シェル幅およびシェル内径がBB86と完全に一致。Madone 3 の記事などでBB86だという記述もあるので、恐らく同じ物とみられる。BB86のことをGIANTはPOWER COREって呼ぶし、PF BB 86.5mmとか呼んでるところもあるし、いい加減統一して欲しいところだ。
今回の調査の感想:
- 保守的だったColnagoもついに2014年モデルでBB86導入に踏み切り、大手で圧入式を採用していないブランドはなくなったといっても過言ではない。
- つい最近までSCOTTとGIANTしか採用してなかった気がするBB86も、一気に採用ブランドが増えた。30mm軸であるBB30/PF30 vs 24mm軸のBB86/BB90 というのがひとつの対立軸。第三の勢力としてFSA率いるBB386が台頭できるかどうか。
- エントリーグレードの話になるが、完成車でFSAクランク、特に Gossamer Pro を採用する例が激減した気がする。Shimanoが完成車向けにFC-R565などの無銘クランクを提供し始めたのが原因か、FSAが値上げしたのか、為替相場でシマノが有利になったのか。
- 単に "プレスフィット" と書かれてる場合はほぼ確実にBB86のことだと思って問題なさそうだ。PF30もプレスフィットBB30などと呼ばれる上に、PF30フレームに30mm軸クランクではなくシマノの24mm軸クランクをつけて販売してる完成車もあるので非常に紛らわしいのだが。
- 規格のスペック値だけ見るなら、ベアリングの左右距離が短いBB30/PF30はちょっと損してるようにも見える。一方で、BB30/PF30はフレーム側のシェルが狭くて太いために、アダプタつけることであらゆるクランクに対応できるという見方もできる。
- 「BBはプレスフィット」としか書かれていない時にPF30ではないことを確認するためには、Shimanoクランクがついた完成車のBB周りを見れば良い。PF30にアダプタつけてShimanoクランクを取り付けるとBBから左右にホローテックIIのBBと同じぐらいにはみ出す (例: こんなやつ) が、BB86では殆どはみ出ない。