バーテープ素材まとめ

バーテープの使い心地をレビューするには、まずそのバーテープがどの素材に類するかを知る必要がある。しかし、「他社の安いやつと同じじゃん」と言われることを恐れてか、バーテープの素材を明記しないメーカーも多い。そこで、少しバーテープ素材を調べたので覚え書きしておく。

ちゃんと素材名を書いてくれてるメーカー

素材一覧

EVA (軟質EVAフォーム、エチレン酢酸ビニル、EVA素材)
廉価帯では定番のふわふわのアレ。高級なバーテープでも内側のクッション材として価格帯を問わず頻出で、現代のバーテープの特徴を一つ挙げるならEVAフォームというほど。軽くて衝撃吸収性が良く、熱伝導率が低い。表面加工により、表面にひだを作ったりすることも(例:BikeRibbon SPUGNA)。EVAが表面に出てるとスポンジっぽい肌触りが残るので、EVAを基材にして表面をPUやLatexにするものも見られる。他の素材とくらべて圧倒的に軽量。
EVA+コルク
BikeRibbon CORK PLUS、OGK BT-01など、現代では超超定番の組み合わせ。1980年代前半にChineliにより開発され、`80年代後半にまたたく間にコットンテープを駆逐した立役者。単に「コルクバーテープ」「コルクタイプ」などと呼ぶことも多い。ふわふわ素材の中にコルクのつぶつぶが入ってる。コルクを混ぜることで、グリップ・吸湿性を改善している。
ポリウレタン (軟質ポリウレタン、PU)
しっとりぷにぷにした触感でしっかりグリップする。PUだけでは巻いてる間に伸びすぎてしまうためか、PUのみのバーテープはスティッチ (縫い目) が入れてあることが多い。
EVA+ポリウレタン
BikeRibbon EOLO SOFTなど。PUの表面加工でカーボン柄も作れる。
(軟質ポリウレタンフォーム)
ネット上ではEVAフォームのことを指して「ウレタン」と呼んでるような節も散見されるが、自分の調べた限りではウレタンを発泡させてバーテープに使った製品はない。もちろんポリウレタンも発泡プラスチックにすることができて、台所用スポンジや低反発まくらが代表的製品。仮に存在したとしても巻いてる途中で切れそう。
PVC (PVCフォーム、ポリ塩化ビニル、革絞素材(?))
BikeRibbon Professionalなど。密度のある素材で表面はすべすべ。EVAより密度が高い分重たいが、熱伝導率は良い。引っ張った時の切れにくさはEVAよりも高く、全力で張力かけられるという意味では巻くのが簡単。
コットン (木綿、Cotton)
PUやEVAの台頭する1980年代より昔、バーテープといえばコットンという時代があった。汚れが落としづらい・振動吸収性が悪い・耐久性が低い あたりが使われなくなった理由だろうか。ランドナー乗りを中心に、コットンテープを巻いた後にセラックニスを塗って仕上げる人もいる。今でも手芸用品店に行けば綿綾テープを買うことができるので、適当に両面テープ貼ったハンドルバーに1mm厚20mm幅5〜6m長の綾テープを巻いていけば安価にバーテープ交換ができる。綿100%よりも合成繊維を含む方がほつれにくく丈夫なようだ。バーテープとしてはBikeRibbon LOOPやVivaコットンバーテープなどの製品が販売されている。編み方により特性が代わり、タオル地のようなものもある。また、EVAを表面加工してコットン風にしたものをOGKでは「コットンタイプ」と呼んでいて紛らわしい。
PE (ポリエチレン)
OGKの薄手タイプBT-06で使われる。PEは合成樹脂の中でも強度や摩耗耐性が高い。
天然ゴム (Latex)
BikeRibbon GRIP EVOはLatex+EVA。実物を見たことがないのでなんとも。
デュラソフトポリマー
Lizard Skins特有。非常にグリップ力が高い。邦語訳すると「高耐久軟質プラスチック」程度の意味。
マイクロファイバー
メガネ拭きの素材として有名。8μm以下の非常に細い化学繊維で編んだ布。繊維としてはポリエステルやナイロンなど。高級サドルの表面素材としても使われる。
人造皮革
布に樹脂を塗って革の質感を目指したもの。起毛処理したものはスウェードと呼ぶ。人造皮革は人工皮革と合成皮革に分けられるが、どちらも俗に合成皮革と呼ばれる。
マイクロテックス
fi'zi;k特有。同社のサドル表面も同じ素材。人造皮革の一種だろうか。fi'zi;kバーテープは薄くて衝撃吸収が悪く巻きづらいが質感は良い。
ジェル(Gel)
Prologo ONETOUCHやBontrager Gel Grip Tapeなどではテープ自体に最初からジェル層がついていて衝撃吸収力を高めている。ちなみに耐震ジェルとして有名なあの青いジェルはポリウレタンエラストマー製。
革 (レザー、leather)
本皮。バーテープとしては高価。
その他
真田紐とか廃チューブとかアクリル綾テープとか、アイディア次第でいろいろ。

様々な素材があり、さらに可塑剤の量や発泡倍率によっても性質が異なるが、全部ひっくるめて「発泡プラスチック(主にEVAフォーム)でクッション性を確保する」「欲しいグリップ力に合わせて表面に別素材を配置したり、表面加工をしたりする」というコンセプトが現代のバーテープの主流であることは間違いない。

参考文献

あらかた記事を書き終わったあたりで参考になる記事をみつけた。