ロードバイク車載カメラ自作マウント製作メモ

自転車にカメラをマウントするための台座はいくつかのメーカーから出ているが、なぜかその多くがハンドルにマウントするものである。ハンドルにデジカメ取り付けて使ってみると、35km/hを超える程度の高速域では少しマシになるものの、20km/h台の低速域ではハンドルの方向が絶えずわずかにブレるために非常に見づらい映像になってしまう。フレームマウントすることでこのハンドル起因のブレを大きく軽減できる。また、フレームマウントするとサイコンを画面中におさめて速度を表示させることが可能になるという長所もある。
ロードバイクの車載において最も大きな敵は、走行時の振動である。チェストマウント方式(カメラを自分の体の胸部に設置する)はこの振動に強い有力な手法であるが、ロードバイクでは走行状況に合わせて上体の角度を変えることが多く、カメラを安定した角度に保つことが難しいことから今回は採用を見送った。
最も有力な手法であるフレームマウントなのだが、フレームのパイプにパイプをつないで上に伸ばしてネジをつけるだけの簡単な構造にも関わらず、市場規模が小さいためか手軽な製品が少ない。RAMマウントがこの手の用途では有名だが、価格が高くて6000円以上の費用がかかってしまう。デジカメを買っても1万円、アルミパイプが1.5x15x15の1mで400円で買えるにも関わらず、である。また、汎用の既成品では自分の用途に対して小回りが効かないのも問題である。
以上の事情から、フレームマウント式の車載カメラマウントを自作することにした。上記のように走行時の振動が大きな問題であるため、試作した順を追って以下で述べた。

先行研究というか既成品の例

RAMマウント

ダブルUボルトベース

ベルトクランプベース (ホースバンド固定)

フレームマウントならRAMマウントというくらいに有名。他にも様々なマウントを用意している。

GoPro

ロールバーマウント

高さが変更できない。対応直径35〜63.5mm

JVC

ロールバーマウント

剛性低そうに見えるが、カメラ位置が低ければ問題ない…?

ダイアコンペ

GRAN COMPE MULTI HOLDER MH-1

なんとサスペンション付き。しかしハンドルマウント。
マウントにサスをつけて振動吸収を狙う時はこのようにカメラの角度が変わらないようにするのが大事。

ver.0.1 (04/12) サドルバンドでとりあえず作ってみた


材料は上図の通り、金折はスチール製2mm厚、サドルバンドは25Aの配管に対応した大きさ。自分のクロスバイクフレームはトップチューブが直径35mmでほぼ真円だったため、外径34mmである25Aがちょうどうまく使えた。金折には60mm離れたところにφ3の穴が開いてるものを購入したため、サドルバンドを金折に直接固定することができた。トップチューブに傷防止・固定力強化のためにビニールテープを巻いたところにサドルバンドをはめて金折とM3ネジとナットで固定した。
電動ドリルを用いて、金折の穴のうち一つをφ6に拡張し、1/4インチネジと対応するナット(三脚から外したもの)を用いてカメラを固定した。

明らかに高さが足りなかったので、カメラを横にして撮影したり、カメラを後ろ向きに固定して撮影したりして評価を行った。

  • この高さであればサドルバンドでも走行中にブレない十分な固定力が得られた。
  • トップチューブからものが横に突き出ていると膝をぶつけてしまいがちなので、なるべく横への張り出しを少なくする工夫がいる。
  • サドルバンドは十分剛性が出ていたが、金折のL字部分は継続して評価が必要であろう。

ver.0.2 (04/26) 四角パイプでマウント位置を上へ持ち上げた


アルミ1.5x15x15の四角パイプを1m購入(400円弱@ビバホーム)。長さ20cmに切って、電動ドリルでφ4のサドルバンド固定穴と金折り固定穴を空けた。サドルバンド固定穴の間隔は、ver.0.1で60mmだったが今回は上下振動の軽減を狙って58mmとした。

  • アルミは加工が容易で軽量。パイプもこの太さで十分な剛性が得られているように見える。
  • サドルバンドの固定にM3ネジとナットを用いたが、小さくて作業が非常にやりづらい。ノブを用いて工具なしで取り付けられるようにするべきである。
  • アームが長くなったため、サドルバンド固定の部分が走行中に傾いてくる問題が発生した。サドルバンドは元々はパイプを壁に固定するためのもので、パイプにそれ一つでぶら下がるためのものではないので仕方がないところか。解決策として、アームを下方向へ伸ばしてダウンチューブと接触させて傾かないようにしたり、チューブとの固定にホースバンドを用いたりする方法が考えられる。
  • 金折を固定しているところもM3ネジ一つでは走行中に緩んでしまうことがあった。M5やM6の大きいネジを用いたり、滑り止めを巻いたりする改善が必要。
  • カメラマウントは剛性を高くして下手な振動防止でカメラが余計に大きく揺れるのを防止し、撮影した映像を手ぶれ補正処理かける方針だったが、カメラとマウントの接する部分であればゴムやビニールテープで振動防止するのは十分有用そうだ。金折の金属とカメラの間にビニールテープを巻いてあったかどうかで思った以上に映像に差が出た。
  • カメラの位置が高すぎると下ハン握った時にアゴがカメラにぶつかる。適度に低くするとサイコンを画面内に収めることができるが、カメラの角度はそれにこだわらずに水平を保つべき。
  • ライトはハンドルから吊り下げ固定して画面外へ出すべき。

ver.0.2.1 (04/27) タイラップ固定方式、剛性不足

サドルバンドの代わりに3.5mm幅のタイラップで止めてみた。アルミ四角パイプに2箇所穴を空けてタイラップを固定している。

手で揺すってみると明らかにタイラップの剛性が低く、ロール・ピッチ方向 (上下を軸とした回転がヨー(Yaw)、左右を軸にした回転がピッチ (pitch)、前後を軸にした回転がロール (roll)) に簡単にブレる。試用すらせずに分解。
できるだけ太いタイラップを使って、トップチューブとダウンチューブの二箇所で固定すればあるいは……

ver.0.2.2 (5/17) 振動吸収ゴム

ゴムワッシャーとか売ってるけど、そんなのゴム板を丸ポンチで打ち抜けば作れるだろ、ってことで1mm厚のゴム板を加工した。1mm*100mm*100mmのゴム板を100円くらいで買ったけど、自転車ライト買った時についてくるゴム板で代用できるから買う必要すらなかった。

カメラのすぐ下で、薄いゴム板を使う分にはアリ。ただ、調子に乗って発泡ゴムみたいな素材で5mm厚のもの使ったらかえって振動が増えた気がする。

ver.0.3 (5/25) アルミパイプでL字

久々にノコギリと電動ドリルを握って金属加工。

まだ接着剤 (セメダイン スーパーX) で仮固定した状態で、これから左に見えてるL字金具で本固定する予定。M6x50ボルトを使うことで、今までM3ボルトで強度不足だったのを解消しつつ、ピッチ方向の調整もできるようにした。将来的にここの角度を電子制御で常に水平に保てないかと構想中、もとい、妄想中。一応、固定軸の延長線上あたりにカメラの重心が来るようにしてみた。
一応ハンダ付け固定できないか試してみたが、熱容量でかいし手元にでかいバイスがないしアルミ用フラックスないしで全然ダメだった。プロにやらせりゃこんなのロウ付けなり溶接なりするんだろうけど、家庭にある工具だとちょっとそこまでは手が出ない。ノコギリ下手すぎて垂直カットすらつらい。
で、適当に走って撮影してみたが、

  • 支柱とL字部は密接させないとヨー軸でブレる
  • サドルバンドの固定力不足でヨー・ピッチの両方でブレる

カメラの角度をモーター制御できる日はいつ来るのか。

ver.0.4 (6/1) Uボルト採用

サドルバンドの固定が甘いので、抜本的にUボルトに交換。

いやー 「Uボルトはフレーム側へのダメージが気になります(キリッ」とか言ってたくせにやっちゃったねー。W5/16ネジの圧倒的剛性感。堅い!攻めてる!切れない!勝ち!
「Lプレートで補強する」って言ってたけど、セメダインのスーパーXで接着しただけで十分な強度が得られてるっぽいので、穴開けてネジ止めするのが面倒になってそのまんま。金属同士の接着なので、エポキシ樹脂の2液混合型の接着剤を用いればより高剛性なんだろうが、弾性接着剤のスーパーXでも問題なさそうだ。カーボンフレームも布を接着剤で固めて作られてるようなものだし、接着剤もモノと使い方次第。


実際に試走してみたが、剛性改善の成果が大きく、なんとか見れるレベルの動画ぐらいにはなった。ただ、Uボルトがフレーム点接触してるために、手で容易にピッチ方向に傾いてしまう。動画のブレには大きくは現れていないが、気になる点なので支柱側のUボルト穴のちょうど二分線のところに溝を掘るなどの対策が必要。
蝶ナットを手でしめる程度のトルクしかかからないとはいえ、Uボルトがフレームに点接触してるためにフレーム保護が必要そう。ビニールテープだとテープに穴が開いてしまったので、ゴム板を使うべきか…